专利摘要:
抗体は、改変過程及び分解過程を受け得る、生物学的な巨大分子である。抗体特異的分解産物を分離及び特徴づけるための新規なLC/MSに基づいた方法が本出願書に記載されており、これには、酵素IdeSを使用して重鎖を開裂する酵素消化工程が含まれている。
公开号:JP2011505849A
申请号:JP2010538456
申请日:2008-12-18
公开日:2011-03-03
发明作者:エッサー,ビアンカ;コル,ハンス;ゾンダーマン,ペーター;レグラ,イェルク・トーマス
申请人:ロシュ グリクアート アクチェンゲゼルシャフト;
IPC主号:C12Q1-37
专利说明:

[0001] 背景情報
製薬産業分野では、近年、とりわけ、酵素、抗体及びサイトカイン(例えば、エリスロポエチン、インターフェロン、プラスミノーゲンアクチベーターなど)に基づいた製品が非常に成功を収めている。タンパク質治療剤に対する世界中からの要望は年々増している。治療モノクローナル抗体(mAbs、monoclonal antibodies)は、タンパク質治療薬の中でも重要な一群である。ポリクローナル抗体とは対照的に、モノクローナル抗体は、単一の抗体形成細胞に由来する免疫細胞(細胞クローン)により分泌されるので、モノクローナルと呼ばれる。モノクローナル抗体の特徴は、それらは各々、免疫原性物質の1つのエピトープのみに指向され、従って、1つの抗原性決定基に対してのみ指向され、それ故、疾病の処置において非常に特異的に使用され得るということである。タンパク質治療薬の例としては、Roche DiagnosticsGmbH社のモノクローナル抗体のトラスツズマブ(市販名:ハーセプチン)、ダクリズマブ(市販名:ゼナパックス)及びリツキシマブ(市販名:マブセラ)があり、これらは、とりわけ乳ガン(トラスツズマブ)の処置に、臓器拒絶(ダクリズマブ)の処置に、そして非ホジキンリンパ腫(リツキシマブ)の処置に成功裏に使用されている。]
[0002] 治療モノクローナル抗体は、複雑なバイオテクノロジー過程により得られる。その作製、製剤化、及び保存中に分解産物が形成される場合があり、これは、酸化反応及び脱アミド化反応並びにタンパク質分解的開裂のような過程に起因することが多い(Yan, B., et al., J. Chromatog. A 1164 (2007) 153-161)。生物学的製品の改変により、たとえ改変の程度がほんの僅かであったとしても、分子中の構造的変化に起因する活性及び/又は免疫原性の変化が起こり得る。]
[0003] バイオ医薬品の品質は、その作用と共に大変に重要である。それ故、治療剤として安全に使用されるためには、作用機序を詳細に調査することに加えて、タンパク質に基づいた薬物の同一性、純度及び活性を測定することは絶対的に不可欠である。]
[0004] mAbsは、様々な分離技術及び試験技術により成功裏に分析することができるが、長年、RP−HPLC法(RP−HPLC、逆相高速液体クロマトグラフィー)を適用及び最適化することにより、抗体種を分離することは困難であった。しかしながら、分解過程の経過で抗体の様々な改変型が同時に存在することが多いため、多様なクロマトグラフィーバンド及び電気泳動バンドの分析がより困難となっている。高分解能質量分析計を接続された液体クロマトグラフィー分離法(LC/MS、液体クロマトグラフィー/質量分析計)による分析により、様々な種の正確な質量に関する情報が得られ、これにより、抗体変種の同定が容易になる(Dillon, T.M., et al., J. Chromatogr. A, 1053 (2004) 299-305)。]
[0005] ヒト病原体の化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)に由来するシステインエンドプロテアーゼIdeS(免疫グロブリン分解酵素S、Immunoglobulin degrading enzyme S)は、Mac−1又はsib−38とも呼ばれているが、これは、免疫グロブリンG型(IgG)抗体の重鎖を特異的に開裂するシステインプロテアーゼである。IgGは、これまで知られている中で唯一のIdeSの基質である(Vincents, B., et al., Biochem. 43 (2004) 15540-15549)。IdeSは、29アミノ酸を含むシグナルペプチドを含んだ339アミノ酸からなり(von Pawel-Rammingen, U., et al.,EMBO J. 21 (2002) 1607-1615)、ここでアミノ酸214〜216によりRGDモチーフが形成されている。IdeSは、ヒトIgG(Gクラス免疫グロブリン)のアミノ酸236と237(Gly−Gly)の間を開裂し、この部位は、認識配列LLGGPに含まれている。ヒトIgG2は、認識モチーフPVAGPの中のアミノ酸アラニンとグリシンの間で開裂される。IgG2a及びIgG3型のマウス抗体も開裂される(Vincents, B., et al., Biochem. 43 (2004) 15540-15549)。]
[0006] Hess, J.K., et al. (Hess, J.K., et al., J. Microbiol. Meth. 70 (2007) 284-291)は、SELDI−TOF質量分析計を用いてIdeSの酵素活性を測定するための質量分光法を報告している。化膿性連鎖球菌から単離され、IgGシステインプロテアーゼ活性を有するポリペプチドが、米国公開特許第2007/0237784号に報告されている。抗体のFc又はFab断片の形成法が、欧州特許出願第EP1458861号に報告されている。A群ストレプトコッカス由来のIdeSプロテアーゼが、国際公開公報第2006/131347号に報告されている。]
[0007] 発明の要約
本発明は、試料中の抗体及び抗体断片又は改変型の抗体を検出する方法を記載しており、以下の工程:
a)抗体及び/又はその開裂産物を含む試料を得る工程、
b)a)で得られた試料を、
i)IgG特異的システインプロテアーゼ、
ii)グリコシダーゼ、
iii)還元剤
と共にインキュベートする工程、
c)b)でインキュベートされた試料を、液体クロマトグラフィーと接続された質量分析計により分析することにより、a)で得られた溶液中に含まれるインタクトな抗体を検出、及び抗体の断片もしくは改変型を検出する工程
を含むことを特徴とする。]
[0008] 該方法の1つの態様において、IgG特異的システインプロテアーゼはIdeSである。更なる態様において、システインプロテアーゼIdeSは、化膿性連鎖球菌又はトレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)に由来する。他の更なる態様において、IgG特異的システインプロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。別の態様は、pH範囲5.5〜8.5におけるIgG特異的システインプロテアーゼとのインキュベーションを含む。別の態様において、pH範囲はpH7.0〜8.0であり、更なる態様においてはpH7.5〜8.0である。他の更なる態様において、IgG特異的システインプロテアーゼと、試料中に含まれる抗体及び/又は抗体断片のモル比は、1:25から1:2500であり、好ましくは1:25から1:100である。別の態様において、グリコシダーゼは、N−グリコシダーゼF(PNGaseF)である。別の態様は、N−グリコシダーゼFが、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)に由来していることを特徴とする(EC 3.2.2.18, EC 3.5.1.52)。別の態様において、グリコシダーゼは、エンドグリコシダーゼHであり、pH6.0〜6.5で使用される。別の態様において、グリコシダーゼは、配列番号2のアミノ酸配列を有する。別の態様において、該方法は、a)で得られた試料を、まず最初に、b)の下でIgG特異的システインプロテアーゼと共にインキュベートし、その後、グリコシダーゼと共にインキュベートすることを特徴とする。別の態様はまた、還元剤がリン酸トリクロロエチル(TCEP)であるものである。別の態様は、還元剤がギ酸と同時に加えられ、インキュベーションは両試薬の存在下で行なわれるものである。更なる態様は、還元剤とのインキュベーションが、60℃以上の温度において行なわれるものである。更なる態様において、質量分析は、エレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析計(ESI−TOF)である。他の更なる態様において、液体クロマトグラフィーは、疎水性相互作用クロマトグラフィー又はπ−π相互作用クロマトグラフィーである。疎水性相互作用クロマトグラフィーの場合、別の態様におけるクロマトグラフィーリガンドは、孔サイズ300Åのクロマトグラフィー材料に結合したC8又はC18リガンドのいずれかであるか、あるいは、π−π相互作用クロマトグラフィーの場合ではクロマトグラフィーリガンドはジフェニルリガンドである。更なる態様において、液体クロマトグラフィーに、Jupiter C18カラム又はZorbax 300SB C8カラム又はPursuitジフェニルカラムのいずれかが使用される。別の態様においてPursuitジフェニルカラムが使用される。更なる態様において、工程c)の液体クロマトグラフィーは逆相クロマトグラフィーである。本発明の別の局面は、改変型の抗体を検出する方法であり、この方法において、工程c)では、b)でインキュベートされた試料を疎水性相互作用クロマトグラフィーにより分析している。]
[0009] 本発明は更に、試料中の抗体又は抗体断片を検出するためのIgG特異的システインプロテアーゼの使用を包含し、ここでは、試料をIgG特異的システインプロテアーゼと共にインキュベートし、そしてグリコシダーゼと共にインキュベートした後、得られた断片を液体クロマトグラフィーに接続された質量分析計により分析することを特徴とする。]
[0010] 本発明の局面はまた、抗体又は抗体断片を検出するためのキットであり、該キットは、
i)化膿性連鎖球菌に由来するIgG特異的システインプロテアーゼ、及び
ii)フラボバクテリウム・メニンゴセプチカムに由来するエンドグリコシダーゼであるN−グリコシダーゼF
を含む。]
[0011] 詳細な説明
本研究は、治療モノクローナル抗体の分解産物及び改変体の分析に関し、これらは、例えば、抗体の作製中、抗体の保存中に、又は抗体の製剤化中のストレス条件により形成される。]
[0012] 「ポリペプチド」は、ペプチド結合により共に連結しているアミノ酸からなるポリマーである。酵素的に作製されても合成的に作製されてもよい。20未満のアミノ酸を含むポリペプチドは、「ペプチド」ともいう。]
[0013] 「タンパク質」は、2つ又はそれ以上のポリペプチドを含む巨大分子であるか、あるいは、100を超えるアミノ酸からなるポリペプチドである。タンパク質はまた、非ペプチド性成分、例えば炭水化物を含んでいてもよい。炭水化物及び他の非ペプチド性改変が、タンパク質を発現する細胞により加えられ、それ故、細胞型に依存する。本出願では、タンパク質はそのアミノ酸配列により規定される。炭水化物などの改変は、明記されていないが、常に存在していてもよい。]
[0014] 本出願において同義語として使用される用語「抗体」及び「免疫グロブリン」は、少なくとも2本のポリペプチド軽鎖(LC)及び2本のポリペプチド重鎖(HC)を含む分子のことをいう。ポリペプチド軽鎖及び重鎖の各々が可変領域(通常、ポリペプチドのアミノ末端)を含み、これには抗原との結合のための結合ドメインが含まれている。ポリペプチド重鎖及び軽鎖の各々が定常領域(通常、ポリペプチドのカルボキシ末端)を含み、これは、例えば、細胞への抗体の結合に関与している。軽ポリペプチドすなわち軽鎖(LC)は、通常、可変ドメインVL及び定常ドメインCLから構成される。重ポリペプチドすなわち重鎖(HC)は、通常、可変ドメインVH及び定常領域から構成され、この定常領域は、ドメインCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び場合によりCH4により構成される。抗体は、数多くの形態、例えば、Fv、Fab及びF(ab)2、並びに、単鎖(scFv)で存在し得る(例えば、Huston, J.S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988) 5879-5883; Bird, R.E., et al., Science 242 (1988) 423-426; and Hood, L. E., et al., Immunology, Benjamin N.Y., 2nd Edition (1984) and Hunkapiller, T., and Hood, L., Nature 323 (1986) 15-16)。抗体(免疫グロブリン、Ig)は、抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列に応じて様々なクラスに分類される:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgM。これらのクラスのいくつかは、更に、亜クラス(アイソタイプ)へと亜分類され、例えば、IgGはIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4へと、あるいは、IgAはIgA1及びIgA2へと亜分類される。重鎖の定常領域は、抗体が属するクラスに応じて、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)及びμ(IgM)と称される。]
[0015] 一般的なクロマトグラフィー法、例えば、Chromatography, 5th edition, Part A: Fundamentals and Techniques, Heftmann, E. (ed.); Elsevier Science Publishing Company, New York, (1992); Advanced Chromatographic and Electromigration Methodsin Biosciences, Deyl, Z. (ed.), Elsevier Science BV, Amsterdam, The Netherlands, (1998); Chromatography Today, Poole, D.F., and Poole, S.K., Elsevier Science Publishing Company, New York, (1991); Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (1982); Sambrook, J., et al. (ed.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989; or Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, F.M., et al. (eds.), John Wiley & Sons, Inc., New York、は当業者には公知である。]
[0016] 抗体は、改変過程及び分解過程を受け得る、生物学的な巨大分子である。これらの過程は、酵素的(触媒的)過程又は非酵素的(非触媒的)過程に基づき得る(Perkins, M., et al., Pharm. Res. 17 (2000) 1110-1117)。起こることの多い非酵素的分解反応の例が以下に記載されている。]
[0017] アミノ酸の酸化
抗体の酸化は、重鎖及び軽鎖のアミノ酸の共有結合的な改変に相当し、これは、反応性酸素種により誘発される。殆ど全てのアミノ酸が原則的には酸化され得るが、メチオニン(M)及びトリプトファン(W)が最も酸化に対して感受性が高い。これらのアミノ酸の酸化(図1参照)は、非常に多くの異なるタンパク質において起こり、その生物学的活性を低下または消失させたり、凝集を誘発したり、タンパク質分解を促進したりすることが多いために特に関心が高い(Houde, D., et al., J. Chromatogr. A 1123 (2006) 189-198)。メチオニンからメチオニンスルホキシドへと単純に酸化されることにより、酸化種においてΔm=+16Daの質量差が生じる。トリプトファンは通常2回酸化されて、その結果、Δm=+32Daの質量差が生じる。更なる反応において、2回酸化型のトリプトファンはキヌレニンへと再編成され、その結果、Δm=+4Daの質量差が生じる。] 図1
[0018] アミノ酸の脱アミド化
抗体分子中のアミノ酸の脱アミド化は、アスパラギン(N)及びグルタミン(Q)において起こり得る。しかしながら、通常、アスパラギンで起こる。更に、特定のアミノ酸配列及びアミノ酸組合せ、例えばアスパラギンとグリシン(NG)、アスパラギンとセリン(NS)、及びアスパラギンとトレオニン(NT)が特に受け易い。アスパラギンの脱アミド化が、保存中の生物学的分子の分解の主な原因である。折り畳まれたインタクトな抗体の脱アミド化は、最初、ストレスの高い条件下でゆっくりとしか起こらない。抗体の3次元構造が例えば、還元及び酵素的開裂後に破壊された場合に、脱アミド化が促進される。なぜなら、これらの場合、アミノ酸は、周囲の媒体とより反応し易くなるからである(図2)。アスパラギンは、中間体産物の形態の環式アミド(スクシンイミド)を形成し得、これは自発的に加水分解されることにより、イソアスパルチルペプチドとアスパルチルペプチドの約3:1の比の混合物が生じる(Chelius, D., et al., Anal. Chem. 77 (2005) 6004-6011)。この反応は、塩基性pH値において優先的に起こる。脱アミド化種のΔm=+1Daの質量差は、アスパラギンからアスパルテート及びイソアスパルテートへの脱アミド化の結果として起こる。10kDaを超える分子量を有するペプチド及びタンパク質の場合、現在の質量分析計を使用してΔm=+1Daの質量差を直接検出することは不可能か又は非常に困難である。更に、荷電分布の変化、より正確には荷電の不均一性の変化が起こる。] 図2
[0019] チオエーテル結合の形成
非還元性チオエーテル架橋の形成は、モノクローナル抗体、特にIgG1サブクラスのモノクローナル抗体で頻繁に観察される現象である。これは、抗体の重鎖と軽鎖を共に連結しているか、又は、軽鎖及び重鎖を分子内的に安定化している、ジスルフィド架橋の中の硫黄原子の消失に基づく。この抗体の改変は、ストレスの高い条件下、この場合では特に高いpH値において好まれる。このような反応はβ脱離であると推定される(Cohen, S.L., et al., J. Am. Chem. Soc., 129 (2007) 6976-6977)。チオエーテル架橋の形成中に硫黄原子が失われるので、これにより、還元されていない改変された抗体種ではΔm=−32Daの質量差が生じる。これに対して、このジスルフィド架橋(S−S)は抗体の還元中に2つのSH基へと開裂される。この理由から、還元された抗体成分における生じる質量差は、Δm=−34Daである。]
[0020] 断片の形成
ストレスにより誘発される断片化反応は、通常、タンパク質のポリペプチド鎖中のペプチド結合の加水分解性開裂、例えば、抗体の重鎖及び軽鎖の加水分解性開裂に基づく。タンパク質分解及びこのようなペプチド結合の加水分解は、原則的には、全てのアミノ酸の間で起こり得、特に、立体的緊張、又は、加水分解を好む他のアミノ酸の側鎖が存在する場合に起こり得る。]
[0021] 抗体の特異的開裂
モノクローナル抗体は、非常に大きなタンパク質であり、更に、その重鎖の糖構造に因り極めて不均一(微小不均一)である。分解産物及び改変体の形成について抗体を調べるために、分析前により小さな断片へと開裂することが便宜である。それ故、試料調製の一部としての抗体の開裂は、分析調査を実施する際の重要な方法である。殆どの場合、抗体はジスルフィド架橋の還元によりその重鎖及び軽鎖へと単純に分解される。しかしながら、更に、他の抗体開裂法も存在する。]
[0022] ジスルフィド架橋の開裂
IgG分子に存在する全てのジスルフィド架橋は、還元により開裂することができる。抗体の遊離の重鎖及び軽鎖が、還元中に得られる。トリス−(2−カルボキシエチル)−ホスフィン(TCEP)は、抗体の全てのジスルフィド架橋が短時間で完全に開裂され、還元が全pH範囲におよび起こるため、しばしば使用されている還元剤である(例えば、Hau, J.C. and Hau, C.Y., Anal. Biochem. 220 (1994) 5-10を参照されたい)。1つの態様において、pH範囲は1.5〜8.5である。ジチオトレイトール(DTT)もまた、ジスルフィド架橋の急速な開裂を特徴とする。しかしながら、酸性環境におけるDTT還元は、非常にわずかにしか進行しない。重鎖及び軽鎖の解離を完了させるために通常、変性工程が必要とされる。変性により更にジスルフィド基により近づき易くなる。変性は、例えば、グアニジン/HCl又はギ酸を用いて実施することができる。]
[0023] 酵素的開裂
システインプロテアーゼであるパパインは、アルギニン(R)、リジン(K)、グルタミン酸(E)、ヒスチジン(H)、グリシン(G)及びチロシン(Y)の後で比較的非特異的にペプチド結合を開裂する。インキュベーション時間が十分に長ければ、パパインによる消化により全体の加水分解が行われる。しかしながら、抗体は、限定的なタンパク質分解によりそのヒンジ領域において比較的選択的に開裂され得る(Lottspeich, F., and Engels, J.W., "Bioanalytik Spektrum Akademischer Verlag" Munich 2nd Edition (2006) 201-214)。開裂は、2つの重鎖を共に接続しているジスルフィド架橋のN末端側で起こる。ジスルフィド架橋はこの過程において保持されているので、3つの断片(2つのFab断片、1つのFc断片)が消化後に得られる。2つのN末端断片は抗原結合断片(Fab、抗原結合断片(antigen-binding fragment))と称され、C末端断片は結晶性断片(Fc、結晶性断片(crystallizing fragment))と称される。各Fab断片は、完全な軽鎖と、重鎖のアミノ末端半分から構成される。Fc断片は、重鎖の2つのカルボキシ末端半分から構成され、これらは、ジスルフィド架橋により依然として共に連結されている。]
[0024] IdeS消化
IdeS(化膿性連鎖球菌の免疫グロブリンG分解酵素、immunoglobulin G-degrading enzyme of S. Pyogenes)は、病原性細菌である化膿性連鎖球菌から単離することができる細胞性システインプロテアーゼである。この酵素は、認識配列GPSVFLFPの直前で高い特異性でもってヒトIgGを開裂する。この配列は、IgGのヒンジ領域の、2つの重鎖(HC)を共に連結しているジスルフィド架橋のC末端側に位置している。開裂により2本の重鎖(2つのHC−Fc断片)のC末端とFab”断片が得られ、このFab”断片は、ジスルフィド架橋により連結された軽鎖及び重鎖のFab断片腕から得られる(図3)(von Pavel-Rammingen, U., et al.,EMBO Journal 21 (2002) 1607-1615)。] 図3
[0025] IdeS抗体断片は、消化後にDTT又はTCEPを用いて還元されると、Fab”断片の代わりに、抗体の2本の軽鎖(2本のLC)及び重鎖のN末端断片(2本のHC Fab)が得られる。重鎖のC末端(HC−Fc)は還元により影響を受けない。]
[0026] 脱グリコシル化
N−グリコシダーゼF酵素は、いわゆるエンドグリコシダーゼであり、糖タンパク質の糖構造、例えば抗体の重鎖の糖構造を、ペプチド鎖と近くのN−アセチルグルコサミン残基の間で開裂する。]
[0027] 様々なタンパク質又はペプチド成分の混合物の分析で時として得られる非常に複雑なマススペクトルを、成分を前以って分離することにより単純化するために、液体クロマトグラフィー法と併用した質量分析が行われることが多い(LC/MS)。この目的のために、質量分光分析の前に、その成分に従って、溶解された物質混合物を分離するために、とりわけ高性能なHPLCシステムが使用される。分析混合物のクロマトグラフィーによる分離の結果、成分は異なる時間で分離カラムから溶出し、このように、その溶出順に質量分析計により分析することができる。]
[0028] 溶出プロファイルの各ピークのマススペクトルは、質量分析計と接続されたクロマトグラフィーにより得られる。この利点は、分析物の溶液の全ての成分の複雑な全スペクトルが得られるのではなく、むしろ、理想的な場合では、分離された成分の均一なスペクトルが得られることである。]
[0029] エレクトロスプレー法(ESI)は、質量分析において、溶解された分子をガス性イオンに変換するために頻繁に使用されるイオン化法である。これは、液体を電場に分散させることにより達成される(エレクトロスプレー)。分析物の分子を含む非常に多くの小さな荷電された液滴がこの過程で形成される。]
[0030] 高度に荷電されたイオンの形成が、ESI過程の特徴である。従って、所定のタンパク質種のマススペクトルにおいて、その分子量に応じて各々荷電差Δz=1(原則として、ポジティブモードでは1つのプロトンの付加、又は、ネガティブモードでは1つのプロトンの引き算による)を有する全シリーズのイオンシグナルが観察される。タンパク質のスペクトルは、特徴的なおよそベル形状の分子イオン荷電分布を示す。分布の最大値は、ESI質量分析計のパラメータ、溶媒のpH、及びタンパク質の変性状態に依存する。ジスルフィド架橋の開裂後、変性の結果として、タンパク質は空間的により広がった構造をとり、それにより、より多くの荷電が分子により受容(又は放出)され得る。それ故、荷電分布の最大値はより高い(より低い)荷電にシフトし得る。]
[0031] 多価荷電分子イオンの荷電数n及び従って分子量(M)は、荷電分布のいずれか2つの連続的な分子イオン(m2>m1)の測定されたm/z比(m)から計算することができる:]
[0032] ここでのXは、チャージキャリアの質量であり、すなわち、1つのプロトンの付加の場合ではX=1(ポジティブモード)、1つのプロトンの引き算の場合ではX=−1(ネガティブモード)である。nの値は、変数nを解き、式1及び2の方程式を解くことにより計算することができる:]
[0033] 分子イオンの分子量は、Mについて式2を解き、式3でnの計算結果を使用することにより計算することができる:]
[0034] スペクトルは、コンピュータープログラムを用いて通常分析され、これを使用して全てのシグナル又は個々の選択されたシグナルのいずれかから分子量を決定することができる。結果として、対応する分子量範囲(複雑ではないスペクトル)について再計算された所定のスペクトルを示す、いわゆる再構成が得られる。分子量は、現在では、計算されたピークから直接的に解読することができる。]
[0035] 以前使用されていた方法では起こっていた問題を、本発明に記載の方法を使用することにより防ぐことができることが今回驚くべきことに判明した。また、酵素IdeSの使用は、抗体のLC/MS分析を行なう上で有利であることも驚くべきことに判明した。]
[0036] 従って、本発明の第一の局面は、試料中の抗体及び抗体断片並びに抗体の改変型を検出する方法であり、これは、以下の工程:
a)抗体及び/又はその開裂産物及び/又は抗体の改変型を含む試料を得る工程、
b)a)で得られた試料を、
i)IgG特異的システインプロテアーゼ、
ii)グリコシダーゼ、
iii)還元剤
と共にインキュベートする工程、
c)b)でインキュベートされた試料を、液体クロマトグラフィーと接続された質量分析計により分析することにより、a)で得られた溶液中に含まれるインタクトな抗体を検出及び抗体断片を検出する工程、
を含むことを特徴とする。]
[0037] 得られた試料は、例えば、抗体を含む溶液、例えば、凍結乾燥抗体製剤の復元溶液であり得る。保存中及び凍結乾燥中に、改変された抗体分子がこの溶液中に形成される。これらの改変は、とりわけ、個々のアミノ酸の酸化及び脱アミド化、チオエーテル結合の形成、及び抗体断片の形成である。]
[0038] 本発明に記載の方法は、様々な薬剤と試料とのインキュベーションを含む。これらの薬剤を使用することにより、試料中に含まれる抗体分子及び抗体断片分子は、所定の断片へと変換される。該方法の1つの態様において、第一インキュベーション工程は、IgG特異的システインプロテアーゼIdeS、好ましくは化膿性連鎖球菌又はトレポネーマ・デンティコラ由来のIdeSを用いた分子の開裂である。更に好ましい態様において、IgG特異的システインプロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列を有する。IgG特異的システインプロテアーゼとのインキュベーションは、1つの態様において、pH5.5〜8.5のpH範囲で行なわれる。1つの態様において、インキュベーションは、pH7.0〜8.0のpH範囲である。また、IgG特異的システインプロテアーゼと抗体分子(抗体断片分子を含む)のモル比は、1:25から1:2500であり、好ましい態様では1:25から1:100とすべきである。]
[0039] 該方法の1つの態様において、第二インキュベーション工程は、グリコシダーゼを用いての抗体断片からの炭水化物の開裂である。1つの態様において、グリコシダーゼは、N−グリコシダーゼF、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼH、アセチル−ノイラミニルヒドロラーゼ、又はO−グリコペプチドエンド−D−ガラクトシル−N−アセチル−a−ガラクトサミノヒドロラーゼから選択される。1つの態様において、グリコシダーゼはN−グリコシダーゼFであり、これはPNGアーゼFとも呼ばれる。1つの態様において、N−グリコシダーゼFは、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカムに由来する。1つの態様において、グリコシダーゼは、エンドグリコシダーゼF2であり、これはエンドF2とも呼ばれる。別の態様において、エンドグリコシダーゼF2は、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム又はクリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム(Chryseobacterium meningosepticum)に由来する。別の態様において、グリコシダーゼは、エンドグリコシダーゼHであり、これはまたエンドHとも呼ばれる。更なる態様において、エンドグリコシダーゼHは、ストレプトマイセス・プリカタス(Streptomyces plicatus)に由来する。別の態様において、グリコシダーゼは、アセチル−ノイラミニルヒドロラーゼであり、これはまたノイラミニダーゼとも呼ばれる。更に別の態様において、アセチル−ノイラミニルヒドロラーゼは、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)に由来する。別の態様において、グリコシダーゼはO−グリコペプチドエンド−D−ガラクトシル−Nアセチル−a−ガラクトサミノヒドロラーゼであり、これはまたD−グリコシダーゼとも呼ばれる。1つの態様において、O−グリコペプチドエンド−D−ガラクトシル−Nアセチル−a−ガラクトサミノヒドロラーゼは、肺炎連鎖球菌に由来する。更なる態様において、グリコシダーゼは、EC3.2.218又はEC3.5.1.52又はEC3.2.1.96又はEC3.2.1.18又はEC3.2.1.97である。更なる態様において、グリコシダーゼは、配列番号2のアミノ酸配列を有する。]
[0040] まず最初に、得られた試料をIgG特異的システインプロテアーゼと共にインキュベートし、その後、それをグリコシダーゼで処理することが有利である。]
[0041] 第三の工程において、還元剤を加えることにより、好ましくはリン酸トリクロロエチル(TCEP)を加えることによりジスルフィド架橋を開裂する。1つの態様において、還元剤の添加と同時にギ酸を加える。]
[0042] 液体クロマトグラフィーと質量分析の組合せを使用することにより、得られた所定の抗体断片が分析される。個々の断片は液体クロマトグラフィーにより分離され、その後、質量分析計により測定することができる。1つの態様において、質量分析計はエレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析計(ESI−TOF)である。1つの態様において、液体クロマトグラフィーは、疎水性相互作用クロマトグラフィー又はπ−π相互作用クロマトグラフィーである。疎水性相互作用クロマトグラフィーの場合、クロマトグラフィーリガンドは、1つの態様において、孔サイズ300Åのクロマトグラフィー材料に所在するC8もしくはC18リガンドであるか、又は、π−π相互作用クロマトグラフィーの場合、ジフェニルリガンドがクロマトグラフィーリガンドとして使用される。1つの態様において、Jupiter C18カラム又はZorbax 300SB C8カラム又はPursuitジフェニルカラム、好ましい態様において、Pursuitジフェニルカラムが液体クロマトグラフィーに使用される。]
[0043] 本発明は更に、試料中の抗体又は抗体断片を検出するためのIgG特異的システインプロテアーゼの使用に関し、これは、試料をIgG特異的システインプロテアーゼと共にインキュベートし、得られた断片をグリコシダーゼと共にインキュベートした後に、液体クロマトグラフィーに接続された質量分析計により分析することを特徴とする。]
[0044] 本発明の別の局面は、抗体又は抗体断片を検出するためのキットであり、これは、該キットが、
i)化膿性連鎖球菌由来のIgG特異的システインプロテアーゼ、及び
ii)フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム由来のエンドグリコシダーゼであるN−グリコシダーゼF
を含むことを特徴とする。]
[0045] まず最初に、IdeS消化のインキュベーション条件を最適化するために、酵素:抗体比の低下及びインキュベーション時間の短縮について試験された。消化された抗体分析物溶液中の酵素成分の存在が、得られるマススペクトルのシグナルに干渉する可能性があるため、可能な最も短いインキュベーション時間及び可能な最小の酵素:抗体比が、実践的な理由から望ましかった。抗体消化に使用される酵素の量は、これを避けるためにできるだけ少なくすべきである。同時に、抗体分子は消化後に完全に開裂されていなければならない。更に可能な最も多い試料処理量を達成し、実験的な時間経過を最適化するために、完全な消化が確実になされつつもインキュベーション時間は短くすべきである。消化調製物のゲル電気泳動による分離の結果(図7参照)により、予期されるIdeS開裂産物に相当する2本の主なバンド(約100kDa及び約25kDa)が、全ての消化条件下で形成されたことが示された。分子量約100kDaを有するより大きな主なバンドは、2本の軽鎖(LC)と重鎖(HC)のFab断片とを含む、予期される抗体のFab''部分に相当する。分子量約25kDaのより小さな主なバンドは、予期されるHCのFc断片である。消化調製物のゲル電気泳動による分離の結果により、酵素:抗体の比率は、IdeS消化に対してより有意な効果を及ぼすことが示される。様々な調製物のIdeS消化の効率に関して、SDS−PAGEの結果により、酵素:抗体の比が1:50、インキュベーション時間が0.5時間及び1時間でも、インタクトな抗体(2HC/2LC)のバンドが最小強度で依然として存在することが示される(図7A、レーン6及び9参照)。酵素:抗体の比が同じで、2時間及び5時間のインキュベーション時間では(図7B、レーン6及び9)、インタクトな抗体分子のバンドは消失していた。従って、好ましいインキュベーション時間は、2時間から5時間の間であり、特に好ましいのは2時間である。また、18時間のインキュベーション時間及び1:50、1:500、1:2500、1:10000の酵素:抗体の比は、同じ酵素:抗体比で5時間のインキュベーションと比べて差異は認められなかった。従って、1:25から1:100の酵素:抗体比が好ましい。1:50の酵素:抗体比が特に好ましい。] 図7 図7A 図7B
[0046] LC/MSに基づいた方法には、ストレスにより誘発される分解産物を分離及び検出するのに特に適した試料調製法が含まれる。原則的に、試料調製には可能な4つの変法がある:
1.抗体の還元のみ;
2.抗体を脱グリコシル化し、その後、還元;
3.抗体をIdeSで消化し、その後、還元;
4.抗体を脱グリコシル化し、その後、IdeSで消化し還元]
[0047] 還元しかされていない調製物(変法1)及びIdeSで消化され還元された調製物(変法3)は、抗体溶液のLC/MS分析には適していないことが判明した。なぜなら、重鎖の糖構造に因り異種のスペクトルが得られ、これがLC/MSの測定の感度を低下させ、分析をより困難なものとしているからである。]
[0048] IdeSで消化され、脱グリコシル化され、還元された試料調製物は、脱グリコシル化され還元された試料調製物よりも好ましいことが今回驚くべきことに判明した。なぜなら、より小さな抗体断片が得られ、これによりLC/MS測定の質量分解能にプラスの効果を及ぼし、抗体のHC−Fc又はHC−Fab部分のいずれかに位置及び配置されるように更に存在し得る改変が可能となるからである。更に、重鎖の開裂により、該断片のクロマトグラフィー挙動で起こり得るストレスにより誘発された改変の効果を増幅することにより、互いのその分離を促進することができる。IdeS及びN−グリコシダーゼFの2つの酵素を同時に使用することによる問題はなかった。]
[0049] 実践的な理由から、最初に抗体をIdeSで消化し、その後、脱グリコシル化することが特に有利であることが判明した。実践的な理由からこのように手順が変更されたが、分析の結果についての有意な効果はなかった。TCEP溶液の添加と同時にギ酸が添加され、すなわち、ギ酸及びTCEP溶液は両方共、インキュベーション前に加えられ、よって、1つのインキュベーション中に両成分が存在している。]
[0050] 抗体溶液の分解産物の形成を明瞭かつ簡単に検出し定量するために、それぞれの分解種を分離することが有利である。分析物溶液の分離の品質は、とりわけ、クロマトグラフィーの固定相の特性により有意に影響を受ける。クロマトグラフィー分離の品質は、それぞれのカラムのピーク分解能及びピークの鋭さに基づいて評価された。]
[0051] カラムを選択する際、カラムマトリックスの極性に加えて更なる重要なパラメーターを、分離においては考慮に入れなければならず、例えば、粒子サイズは、可能な最も高いプレート数を達成するためにできるだけ小さくすべきである。更に、抗体は非常に大きな分子であることを心に留めておくべきである。結果として、マトリックス粒子の孔サイズもまた、適切なカラムを選択する場合に決定的な役割を果たす。マトリックス粒子の孔が大きければ大きいほど、抗体成分が孔の中へと拡散し易くなり、これにより分離が向上する。]
[0052] 参照カラムとして使用されるJupiter C18カラムと比べて、Vydac C4カラムでは、使用されたクロマトグラフィー条件下で、分解産物の分離の効果的な向上は得られなかった。Zorbax 300SB C8は、Jupiter C18カラムとは異なるクロマトグラフィー選択性を示すが、様々な抗体断片の分離に関して同等な良好な結果が得られる。これに対し、Pursuitジフェニルカラムは、向上した分離結果を示した。このカラムの分離プロファイルは、Jupiter C18カラムの分離プロファイルと比べて、溶出プロファイルにおいて良好な分解能及び許容可能なピークの鋭さを持つピーク及びショルダーがより多かった。それ故、このカラムは、本発明の方法に従って得られた抗体の分解産物の分離に好ましい。]
[0053] 以下の実施例、参考文献及び図面により、本発明を更に解明しよう。実際の保護範囲は、本発明に添付の特許請求の範囲から導かれる。]
[0054] 本発明は、抗体の例(mAbIGF−1R)に基づいて以下の実施例において記載されている。これは、本発明を制限するものではなく、むしろ本発明を説明するためだけのものである。]
[0055] (好ましくはモノクローナル)抗体の例は、WO 02/053596、WO 2004/071529、WO 2005/016967、WO 2006/008639、US 2005/0249730、US 2005/0084906、WO 2005/058967、WO 2006/013472、WO 2006/00181、US 2003/0165502、WO 2005/082415、WO 2005/016970、WO 03/106621、WO 04/083248、WO 2003/100008、WO 2004/087756、WO 2005/005635、WO 2005/094376、及びWO 2007/115814に記載のように、IGF−1受容体に対する抗体(mAbIGF−1R)である。]
図面の簡単な説明

[0056] 一例としてのメチオニン(a)及びトリプトファン(b)の酸化反応(e.g. Taylor, S., et al., J. Biol. Chem. 278 (2003) 19587-19590を参照)。
アスパラギンの脱アミド化及びアスパルテートへの異性体化;塩基性条件下(pH>8)では経路Iが好ましく、酸性条件下(pH<5)では経路IIが好ましい。
IgG1抗体のIdeSによる消化の図解。
40℃でインキュベートし、−80℃で保存された抗体のゲル電気泳動による分離結果レーン1−試料緩衝液;レーン2−分子量標準物質;レーン3−試料緩衝液;レーン4−還元されていない標準物質;レーン5−還元されていない抗体(−80℃);レーン6−還元されていない抗体(30日間/40℃);レーン7−試料緩衝液;レーン8−還元された標準物質;レーン9−還元された抗体(−80℃);レーン10−還元された抗体(30日間/40℃);レーン11−試料緩衝液;レーン12−試料緩衝液。
ストレスのかけられた抗体(1:40℃、30日間)及びストレスのかけられていない抗体(2:−80℃)及び40℃でインキュベートされたプラセボ緩衝液(3)のSECクロマトグラムの重ね合わせ。
ストレスのかけられた抗体溶液(1:40℃、30日間)及びストレスのかけられていない抗体溶液(2:−80℃)及び40℃でインキュベートされたプラセボ緩衝溶液(3)についてのイオン交換クロマトグラフィーのクロマトグラム。
様々な酵素と抗体の比率(1:50から1:1250)及び様々なインキュベーション時間(0.5時間から5時間)でIdeSにより消化された抗体の分離:レーン番号−ゲルA−ゲルB:1−試料緩衝液−試料緩衝液;2−分子量標準物質−分子量標準物質;3−標準物質−標準物質;4−消化されていない抗体−消化されていない抗体;5−試料緩衝液−試料緩衝液;6−1:50、0.5時間−1:50、2.0時間;7−1:125、0.5時間−1:125、2.0時間;8−1:1250、0.5時間−1:1250、2.0時間;9−1:50、1.0時間−1:125、5.0時間;10−1:125、1.0時間−1:125、5.0時間;11−1:1250、1.0時間−1:1250、5.0時間;12−試料緩衝液−試料緩衝液。
Jupiter C18標準カラム(A)及びPursuitジフェニルカラム(B)でのストレスのかけられた抗体及びストレスのかけられていない抗体の溶出プロファイルの重ね合わせ。
Pursuitジフェニルカラムでのストレスのかけられた抗体(1)及びストレスのかけられていない抗体(2)の溶出プロファイルの重ね合わせ。]
[0057] 実施例1
材料及び方法
本研究で実験に使用された抗体は、IgG1型のヒト組換え抗体である。この抗体は、CHO細胞で発現され、アフィニティクロマトグラフィー及び様々なイオン交換クロマトグラフィー工程により精製された。]
[0058] 熱ストレス
約22mgのIgG1抗体を、10mMトリス/HCl緩衝液(pH8.5)中で透析することにより再緩衝化した。再緩衝化された抗体溶液の一部を、40℃で30日間インキュベートした。他の部分は、対照として−80℃で凍結させた。]
[0059] 透析
透析のために、1.5mlの抗体溶液(c=14.6mg/ml)を、スライドA−ライザー透析カセット(容量:0.5〜3ml、分子量排除サイズ:10kDa)に移し、透析緩衝液中に吊り下げた。透析中は緩衝液を連続的に撹拌し、約8℃に維持した。透析中、透析緩衝溶液を、数回、新しいのと取り換えることにより、緩衝溶液が可能な限り完全に交換されるようにした。表1は、緩衝溶液の交換の時間スキームを示す。]
[0060] ]
[0061] 透析の完了後、抗体溶液をスライドA−ライザーカセットから5mlの反応容器に移した。透析された抗体溶液の容量は、化学天秤(AT261 Delta Range, Mettler-Toledo)で秤量することにより測定した。]
[0062] 滅菌ろ過
透析後、抗体溶液を、細菌レベルの低い条件下で1枚のMinisartシリンジフィルター(0.2μm、Sartorius)を通してろ過することにより滅菌した。抗体濃度の測定のためのサンプリングもまた、細菌レベルの低い条件下で行なった。]
[0063] 抗体濃度の測定
抗体濃度は、Uvikon XL型(Goebel Company)のスペクトルフォトメーターで280nmでの吸光度の測定により決定した。使用された抗体の消衰係数は1.55mL・mg−1・cm−1であり、Pace, C.N., et al., (Protein Sci. 4 (1995) 2411-2423)の方法に従って計算された。]
[0064] SDS PAGE
抗体溶液は、Power Ease 300電気泳動ステーション並びにInvitrogen社のゲル、緩衝液、及び他の試薬を使用してゲル電気泳動により分離した。トリス−グリシン4〜20%勾配ゲルを分離に使用した。使用前に2倍の蒸留水で1:10(v/v)に希釈したトリス−グリシンSDS泳動緩衝液(10×)を泳動緩衝液として使用した。]
[0065] 40℃でインキュベートした抗体溶液及び−80℃で保存しておいた抗体溶液を、還元条件下並びに非還元条件下でアプライした。5μlのMark 12(商標)タンパク質マーカーも参照物質としてゲルにアプライすることにより、調べる試料の相対的分子量を測定した。電気泳動による分離は125Vの電圧で行ない、泳動時間は約95分間であった。ゲル電気泳動後、ゲルを、製造業者の指示に従ってSimply Blue Safe Stain(クーマシーG250染色溶液)で染色した。その後、ゲルを蒸留水で2回脱色した。]
[0066] 染色されたゲルを、Dry-Easeミニセロファン及び乾燥溶液(10%グリセロール(v/v)、40%メタノール(v/v)、10%酢酸(v/v)、40%水(v/v))を使用して保存した。このために、ゲルを、5分間、乾燥溶液中でインキュベートし、2つのセロファンを加えた後に更に10分間インキュベートした。その後、ゲルをセロファン間の泡を除去して置いた後、クランピングフレームで乾燥させた。]
[0067] 非還元SDS−PAGEのために抗体溶液を、10mMトリス/HCl緩衝液(pH8.5)で約1mg・ml−1の濃度まで希釈した。その後、10μl(10μgの抗体に相当する)の希釈された抗体溶液を、10μlのSDS試料緩衝液(2×)と1:2(v/v)の比で混合し、混合し、最後に簡単に遠心分離にかけた。試料を70℃で10分間かけて変性させた。その後、それらを再度簡単に遠心分離にかけた。電気泳動分離のために、16μl(8μgの抗体に相当する)の変性試料をゲルにアプライした。タンパク質マーカーに加えて、1mg・ml−1の濃度まで希釈しその後抗体試料と同じように処理した抗体参照標準物質(c=16.5mg・ml−1)を、参照物質としてアプライした。]
[0068] 還元SDS−PAGEのために、抗体溶液もまた、10mMトリス/HCl緩衝液(pH8.5)を用いて1mg・ml−1の濃度まで希釈した。DTT(ジチオトレイトール)を使用することにより溶液を還元した。抗体が完全に確実に還元されるために、DTT溶液をSDS試料緩衝液(2×)中で100mMの濃度で調製した。その後、10μl(10μgの抗体に相当する)の希釈溶液を、1:2の比率で(v/v)、10μlの2×SDS試料緩衝液+100mM DTTと混合し、混合し、簡潔に遠心分離にかけた。試料を70℃で10分間かけて変性させた。その後、再度簡単に遠心分離にかけた。電気泳動分離のために、16μl(8μgの抗体に相当する)の変性試料をゲルにアプライした。タンパク質マーカーに加えて、1mg・ml−1の濃度まで希釈し、その後、抗体試料と同じように処理した、抗体参照標準物質(c=16.5mg・ml−1)を参照物質としてアプライした。]
[0069] サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
Tosoh Bioscience CompanyのTSKゲルG3000SWXLゲルろ過カラム(7.8×300mm;5μm、250Å)を使用することにより、サイズに従って抗体溶液の成分をクロマトグラフィーにより分離した。分離は、島津−HPLCシステムで行なった。試料成分は、200mMのリン酸カリウム、250mMの塩化カリウム緩衝液(pH7.0)を用いて均一濃度で、30分間かけて流速0.5ml・分−1で溶出した。TSKゲルG3000SWXLゲルろ過カラムの温度は分離中25℃で一定に維持した。オートサンプラーの温度は6℃であった。試料成分は、ダイオードアレイ検出器を使用して280nmの波長で検出された。]
[0070] イオン交換クロマトグラフィー(IEC)
Agilent Companyの弱カチオン交換カラムSynChropak WCX (4.6 x 250 mm, 6 μm, 300A)が、イオンクロマトグラフィーによる抗体溶液の成分の分離に使用された。分離は、島津HPLCシステムで行なった。試料成分は、溶出液A(10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)及び溶出液B(10mMリン酸ナトリウム緩衝液、750mM塩化ナトリウム緩衝液、pH7.0)の2勾配システムを用いて、流速1ml・分−1、泳動時間55分間で溶出された。溶出プロファイルを表2に示す。SynChropak WCXカチオン交換カラムの温度は、分離中、25℃で一定に維持した。オートサンプラーの温度は6℃であった。試料成分は、ダイオードアレイ検出器を使用して280nmの波長で検出された。]
[0071] ]
[0072] 実施例2
熱ストレス
モノクローナル抗体の分解産物及び改変体の形成を加速させるために、インキュベーター(Venticell, MM-Medcenter)中で所定の熱ストレスにかけた。インキュベーションのために、透析された抗体溶液を、40℃で30日間インキュベートした。更に、250μlの抗体溶液を10μlずつのアリコートに分け、−80℃で保存した。これらは、ゼロ点の対照として使用した。]
[0073] 30日後、熱ストレスにかけられたアリコートをインキュベーターから取り出し、微生物の感染について眼で確認した。取り出されたアリコートを反応容器にプールすることにより、均一でストレスのかけられた分析溶液が得られた。抗体溶液を注意深く混合(MS2 minishaker, IKA, Staufen)することにより均質化を行なった。均質化された抗体溶液を、20μlずつのアリコートに分け、−80℃で保存した。]
[0074] 液体クロマトグラフィー及び質量分析による分析のために、約22mgの抗体(c=14.6mg・ml−1)を、10mMトリス/HCl緩衝液(pH8.5)中で再緩衝化し、その後、40℃で30日間インキュベートした。]
[0075] 熱でインキュベートされたプラセボ緩衝溶液の調製
後の分析で、40℃の保存から得られた抗体溶液において観察された変化が、緩衝溶液中での変化に起因しないことを確かめるために、2つの15mlアリコートの10mMトリス/HCl緩衝液を、細菌レベルの低い条件下でろ過することにより滅菌し、また40℃で30日間インキュベーター(Venticell, MM-Medcenter)中でインキュベートした。その後の過程は、抗体溶液と同様に行なった。]
[0076] ゲル電気泳動による熱でインキュベートされた溶液の分析
40℃でインキュベートし、−80℃で保存された抗体のゲル電気泳動による分離の結果を図4に示す。40℃でのインキュベーションにより、抗体分子の凝集物並びに抗体分子の断片が形成される(レーン6及び10)。インキュベートされていない抗体試料は、非還元条件下でIgG1分子の典型的なバンドパターンを示す(レーン4及び5を参照)。主なバンドは、2本の重鎖(HC)及び2本の軽鎖(LC)からなるインタクトな抗体に相当する。更に、構造が完全に保存されていない抗体種のバンドも見られる。これらのバンドは、1本の軽鎖を欠失した2HC/LC種、抗体の半分(HC/LC)、遊離重鎖(HC)、及び遊離軽鎖(LC)である(レーン4及び5を参照)。] 図4
[0077] この典型的なバンドパターンはまた、40℃でインキュベートされた還元されていない抗体試料でも基本的に見られる(レーン6を参照)。主なバンドは、ここでもインタクトな抗体である(2HC/2LC)。更に、−80℃で保存された抗体試料よりも高い強度で、様々なインタクトではない抗体種(2HC/LC、HC/LC、HC、LC)のバンドが存在する。更に、ストレスのかけられた試料においては、約90kDaから200kDaを超える範囲の更なるバンドが形成されている(レーン6を参照)。主なバンドよりも下に存在する種は抗体断片であり、主なバンドよりも上に存在する種は凝集物である。]
[0078] LC/MSによる分析において特に興味深いと思われる2本のバンドは、約21kDaの領域に存在する(レーン6を参照)。これは、共有結合していないFab断片であり、ここでは、HC Fab断片(AA1〜220)及びLCは、ジスルフィド架橋ではなく、むしろ非共有結合的な相互作用(イオン相互作用、水素結合、双極子間相互作用、ファンデルワールス力)により維持されている。試料は変性条件下でゲルにアプライされるので、HCFab及びLCは、ゲル中に1本のバンドとして出現する(レーン6参照)。これに関して、ゲル中の上のバンドは、LC(LC★)であり、下のバンドは、HC Fab断片である(Cohen, S.L., et al., J. Am. Chem. Soc., 129 (2007) 6976-6977)。第二のFab断片及びFc断片からなる残りの抗体は、97kDa及び116kDaの領域に弱い強度で存在するバンドに割り当てることができる(レーン6参照)。]
[0079] 還元条件下での分離における主なバンドは、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)である(レーン8、9及び10参照)。ストレスのかけられていない抗体試料において、2本の主なバンドに加えて、より低い強度で約97kDa及び120kDaの範囲に2本の更なるバンドが存在する。これらは、共有結合した非還元性の凝集物である(レーン8及び9参照)。]
[0080] 40℃でインキュベートされた抗体溶液は、インキュベートされていない抗体溶液と同じバンドパターンを示す(レーン10参照)。ストレスのかけられていない試料の場合の非還元性の種に割り当てられ得る2本のバンドは、ストレスのかけられた試料では非常に大きな強度では存在しない(レーン10参照)。すでに記載された種に加えて(HC、LC、及び2本の共有結合された非還元性のバンド)、ストレスのかけられた抗体溶液では約30kDaから200kDaの範囲に多くの更なるバンドが存在する。これらは還元された共有結合された凝集物、非還元性の種、及び還元された種の断片である(レーン10参照)。]
[0081] ゲルにおいて約90kDaから95kDaの位置にあり、抗体の半分に割り当てられ得る、非還元性の凝集物の種のバンドが、LC/MS分析において特に興味深い。このバンドの強度は、インキュベーションの結果、有意に増加する。このバンドにおける強度の増加は、チオエーテル種の形成に殆ど起因するようである。この種は、実際の質量が75kDaの抗体の半分の分子であり、そのHC及びLCはジスルフィド架橋によって連結しておらず、むしろ、非還元性のチオエーテル架橋により連結されている(Tous, G.I., et al., Anal. Chem. 77 (2005) 2675-2682)。]
[0082] SECによる熱でインキュベートされた溶液の分析
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、ストレスにより誘発された断片及び凝集物の形成の概観が得られる。SECは天然条件下で行なわれるので、共有結合した凝集物並びに共有結合していない凝集物が分析で検出される。分解産物の形成と40℃でのインキュベーションの間の関連を確立するために、ストレスのかけられた抗体溶液に加えて、−80℃で保存されていたストレスのかけられていない試料も分析する。]
[0083] 図5は、40℃でインキュベートされたプラセボ緩衝溶液、40℃でインキュベートされた抗体、及び−80℃で保存された抗体に関するSECの結果を示す。分析のために50μl又は50μgの抗体を、各場合においてアプライした。分子量標準物質の分析結果は、抗体溶液の成分の分子量サイズを決定するための参照物質として作用した。それらを表4に列挙する。表3は、溶出プロファイルにおける様々な抗体種の比率を示す。計算された比率は、存在する全てのピークの面積の合計と比較した、特定の種のピークのそれぞれの面積の比率に基づく。] 図5
[0084] ]
[0085] ]
[0086] ストレスのかけられた抗体種の溶出プロファイルは、SDS−PAGEの結果と相関する。またSECの結果により、凝集物が形成され、抗体がインキュベート中に分解したことが示された(図5参照)。] 図5
[0087] 保持時間が約15〜16.5分である主な種は、インタクトな抗体に割り当てることができるが、これは、40℃でのインキュベーション中に、全面積が約96%から72%へと減少している(表3参照)。主な種の保持時間(RTは15〜16.5分)は、分子量標準物質に基づくと約150kDaの分子量に相当する(表4参照)。158kDaを超える分子量を有する凝集物は、約12〜14.5分の時間窓で溶出される。この溶出時間を示すピークは、40℃のインキュベーションの結果、全面積が約3%から約12%へと増加している(表3参照)。ストレスのかけられた抗体の溶出プロファイルにおいて主な種のピークが減少しつつある領域(RTは約16.5〜18分)に明瞭なショルダーが形成されており、これは面積にして約11%の比率を有し、−80℃で保存された抗体溶液ではこれ程までは存在していない(図5参照)。ショルダーの領域で溶出される抗体種は、約70kDaから120kDaの分子量を有する(表4参照)。これらは、抗体の半分(HC/LC)、1本の軽鎖を欠失した抗体(2HC/LC)、及びFab+Fc断片を示す種である。約19〜20分の保持時間において更なるピークが更に見られ、これは、約20kDaから40kDaの分子量が割り当てられ得る(表4参照)。重鎖(HC)及び軽鎖(LC)並びに共有結合していないFab断片のHC Fabが、この時間窓で溶出される。このピークは、40℃のインキュベーションの結果、全面積の約1%から5%まで増加する(表3参照)。] 図5
[0088] 40℃でインキュベートされたプラセボ緩衝液の溶出プロファイルと、40℃でインキュベートされた抗体溶液の溶出プロファイルを比較することにより、緩衝液のインキュベーションの結果としてのピークは全く生じないことが示される。]
[0089] IECによる熱でインキュベートされた溶液の分析
イオン交換クロマトグラフィー(IEC)は、抗体分子の改変に起因する荷電の変化を検出するのに適している。]
[0090] 抗体におけるストレスに関連した変化を同定できるようにするために、40℃でインキュベートされた抗体の他に、−80℃で保存されたストレスをかけられていない抗体をアプライする。]
[0091] 図6は、ストレスのかけられた抗体溶液及びストレスのかけられていない抗体溶液及び40℃でインキュベートされたプラセボ緩衝溶液についてイオン交換クロマトグラフィーで得られたクロマトグラムを示す。分析では各場合において50μl又は25μgの抗体をアプライした。溶出プロファイルの様々な種の比率を表5に示す。計算された比率とは、存在する全てのピーク面積の合計と比較した、特定の種のピークのそれぞれの面積の比のことをいう。] 図6
[0092] ]
[0093] −80℃で保存された抗体と40℃でインキュベートされた抗体の溶出プロファイルの比較により、酸性範囲への有意な荷電のシフトがインキュベーションにより誘発されることが示される(図6参照)。従って、インタクトな抗体に割り当てられ得る主な種のピーク(保持時間RTは約22〜25分)の強度は、全面積の約61%から約40%へと減少し(表5参照)、一方、溶出プロファイルの酸性範囲におけるピーク(RT12〜18分)の強度は有意に増加した(全面積の約8%から約44%に増加)。ストレスのかけられていない抗体試料の塩基性範囲でみられるショルダーは(RT26〜32分)、40℃でのインキュベーション中に完全に消失する(図6参照)。代わりに、ストレスのかけられた抗体溶液の場合では、主なピークの酸性部分におけるショルダー(RT19〜22分)は強度が増加する。この場合、面積は全面積の約5%から約17%へと増加している(表5参照)。40℃でインキュベートされたプラセボ緩衝液の溶出プロファイルと、40℃でインキュベートされた抗体溶液の溶出プロファイルの比較により、緩衝液のインキュベーションの結果としてのピークは全く生じないことが示される。] 図6
[0094] 抗体のインキュベーションにより誘発される酸性範囲への荷電シフトは、通常、主に、脱アミド化反応に起因する。脱アミド化反応では、アミノ基がヒドロキシル基により置き換えられ、これにより、分子に更なる負の荷電が導入される。IECクロマトグラムの結果により、脱アミド化及び他の荷電変化は、40℃でのインキュベーションの結果、高度に起こったことが示される。]
[0095] 実施例3
IdeSによる消化の最適化
酵素IdeSは、50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)中に1mg/mlの濃度で存在していた。3つの異なるIdeS濃度を含む希釈シリーズを、消化溶液への酵素の添加のために調製した。希釈前溶液(V)中のIdeSの最終濃度は、0.1mg・ml−1(V1)、0.01mg・ml−1(V2)、及び0.001mg・ml−1(V3)であった。希釈は、50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)を使用して行なった。]
[0096] 分析しようとする抗体は、ヒスチジン緩衝溶液(pH6.0)中15.5mg/mlの濃度で存在していた。抗体溶液を、消化溶液に添加するために、50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)でc=5mg・ml−1の濃度まで希釈した。]
[0097] 消化溶液の調製のためのピペッティングスキームは表6に列挙されている。]
[0098] ]
[0099] 調製された消化溶液を、37℃で、0.5、1.0、2.0、及び5.0時間インキュベートした。酵素を全く加えない抗体溶液を、ゼロ対照として調製した。対照溶液では、10μl(50μg)の抗体をピペットにより、40μlの50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)に加えた。インキュベーションは、37℃で5.0時間行なった。]
[0100] 更に、抗体参照標準物質溶液(20mMヒスチジン、240mMトレハロース、0.02%Tween20中の抗体、pH6.0、c=16.5mg・ml−1)を、追加の対照として、50mMのトリス/HCl緩衝液(pH8.0)を用いて1mg・ml−1の濃度まで希釈した。参照標準物質溶液は、事前にインキュベーションすることなくアプライした。]
[0101] 様々な抗体消化溶液を、非還元条件下でアプライした。]
[0102] 実施例4
様々な試料調製法の比較
還元のみ:
43μgの抗体を、0.43Mのリン酸トリクロロエチル(H2O中0.5M)を用いてc=1mg・ml−1の濃度で還元した。この目的のために、38μlのTCEP溶液(H2O中0.5M)を、5μlのストレスのかけられていない抗体溶液(c=8.55mg・ml−1)に加え、37℃で30分間インキュベートした。その後、抗体溶液を、1:2(v/v)の比率でギ酸(1%、v/v)を用いて希釈した。ギ酸で希釈した後、抗体の濃度は、0.5mg・ml−1であった。ギ酸の比率は、0.5%(v/v)であった。得られた溶液を、13,400rpmで2分間、遠心分離にかけた(Minispin, Eppendorf)。上清をピペットを用いて注意深く取り出し、分析チューブに移した。4μl(2μg)の抗体をLC/MS実験のカラムにアプライした。]
[0103] IdeSによる消化及び還元:
IdeSによる消化は、43μgの抗体を1mg・ml−1の濃度でインキュベートすることにより行なわれた。この目的のために、5μlのストレスのかけられていない抗体溶液(c=8.55mg・ml−1)を、34μlの50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)で希釈し、4μlのIdeS溶液(50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)中0.25mg・ml−1)を加え、37℃で2時間インキュベートした。その後、0.25MのTCEP(H2O中0.5M)を用いて0.5mg・ml−1の濃度で還元した。この目的のために、35μlの消化抗体溶液(c=1mg・ml−1)を、35μlのTCEP溶液(H2O中0.5M)に加え、37℃で30分間インキュベートした。その後、抗体溶液を、1:2(v/v)の比率でギ酸(1%、v/v)を用いて希釈した。ギ酸で希釈した後、抗体の濃度は、0.25mg・ml−1であった。ギ酸の比率は0.5%であった。得られた抗体溶液を、13,400rpmで2分間遠心分離にかけた(Minispin, Eppendorf)。上清をピペットを用いて注意深く取り出し、分析チューブに移した。8μl(2μg)の抗体を、LC/MS実験のカラムにアプライした。]
[0104] 実施例5
LC−MS分析法
抗体を、抗体の分解産物を特徴づけるためのLC/MS分析のために、まずIdeSで消化し、その後、脱グリコシル化し、その後、還元した。]
[0105] IdeSによる消化
IdeSによる消化のために、4μlのIdeS溶液(50mMトリス/HCl緩衝液中c=0.25mg・ml−1、pH8.0)を各々、7.9μlのストレスのかけられた抗体(c=6.26mg・ml−1)及び5.8μlのストレスのかけられていない抗体(c=8.55mg・ml−1)に加えた。この溶液を、抗体濃度が1mg・ml−1となるまで50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)で希釈し、37℃で2時間インキュベートした。酵素:抗体の比は1:50であった。]
[0106] N−グリコシダーゼFによる脱グリコシル化
抗体の重鎖の糖構造を、N−グリコシダーゼF酵素を用いて開裂除去した。N−グリコシダーゼで結合された糖は、IdeSによる消化後に、50mMトリス/HCl緩衝液(pH8.0)中0.5mg・ml−1の抗体濃度でインキュベーションすることにより開裂した。開裂は、0.5μl(活性:10U・ml−1)のN−グリコシダーゼFの添加により開始された。インキュベーションは37℃で4時間行なわれた。]
[0107] 還元−実施例1
IdeSにより消化し、60μlのTCEP(リン酸トリクロロエチル;H2O中0.5M)の添加により脱グリコシル化した後に、還元が行なわれた。その後、この混合物を1:2(v/v)の比でギ酸(1%、v/v)で希釈し、これにより、還元溶液中の抗体の濃度が0.16mg・ml−1となった。TCEPの濃度は0.1Mであり、溶液中のギ酸の比率は0.5%(w/v)であった。ギ酸及びTCEPの両方の存在下で37℃で30分間インキュベーションを行なった。その後、得られた抗体溶液を、13400rpmで2分間遠心分離にかけた(Minispin, Eppendorf)。上清をピペットにより注意深く取り出し、分析チューブに移した。13μl(2μg)の抗体を、LC/MS実験のカラムにアプライした(図8)。] 図8
[0108] 還元−実施例2
IdeSにより消化し、60μlのTCEP(リン酸トリクロロエチル;H2O中0.5M)の添加により脱グリコシル化した後に、還元が行なわれた。その後、この混合物を1:2(v/v)の比でギ酸(1%、v/v)で希釈し、これにより、還元溶液中の抗体の濃度が0.16mg・ml−1となった。TCEPの濃度は0.1Mであり、溶液中のギ酸の比率は0.5%(w/v)であった。ギ酸及びTCEPの両方の存在下で70℃で10分間インキュベーションを行なった。その後、得られた抗体溶液を、13400rpmで2分間遠心分離にかけた(Minispin, Eppendorf)。上清をピペットにより注意深く取り出し、分析チューブに移した。13μl(2μg)の抗体を、LC/MS実験のカラムにアプライした(図9)。] 図9
[0109] RP−HPLC分離手順
調製物の逆相(RP)分離が、ミクロ脱気装置、キャピラリーポンプ、ミクロオートサンプラー(温度制御ユニット、カラムオーブンを含む)、及び多波長検出器を備えた、Agilent 1100 Cap-LCシステムで行なわれた(Agilent, Waldbronn)。粒子サイズ3.5μm、孔サイズ300Å、寸法1.0×250mmを有するJupiter C18カラム(Phenomenex, Aschaffenburg)が標準的な分離に使用され、これにより参照基準点が示される。クロマトグラフィー分離は、75℃、流速40μl・分−1で行なわれた。各々の調製物において2μgの抗体がカラムにアプライされた。試料成分は、溶出液A(H2O中0.5%ギ酸(v/v))から溶出液B(70%の2−プロパノール、20%アセトニトリル、9.5%H2O、及び0.5%ギ酸(v/v))へと混合された二相勾配を用いて溶出された。表7は、溶出に使用された勾配のプロファイルを示す。]
[0110] ]
[0111] 溶出された試料成分は、280nmの波長でUV検出器を用いて検出された。オンラインTOF質量分析では、HPLCシステムが、micromass LCT質量分析計(Waters, Eschborn)に接続された。10μlの溶出液Aを注入することによりブランク値が記録された。]
[0112] 質量分光分析
液体クロマトグラフィーにより分離された溶出液のオンラインESI−TOF質量分析を、電子スプレーイオン源を備えたmicromass LCT質量分析計(Waters, Eschborn)で行なった。データは、80℃のコーン温度及び100℃の脱溶媒和温度でポジティブモード(ES+)で600〜2000amu(原子質量単位、atomic mass units)の質量範囲で記録された。キャピラリー電圧は3000Vであり、コーン電圧は30Vであり、RFレンズ電圧は400Vであり、抽出コーン電圧は1Vであった。ESI−TOF質量分析における他のパラメーター設定は表8に要約されている。]
[0113] ]
[0114] Hamiltonポンプ(pump 11, Harvard Apparatus)を用いて流速5μl・分−1で質量分析計に供給される50%アセトニトリル中0.085%H3PO4を使用して1点校正(LTeff測定)が行なわれた。質量の正確度は約100ppmであった。データは、Mass Lynx 4.0データ記録ソフトウェアを用いて評価された。]
[0115] 実施例6
Pursuitジフェニルカラムのマススペクトルと、Jupiter C18カラムのマススペクトルの比較
Jupiter C18カラムと同様に、Pursuitジフェニルカラムでは、ピーク1のプレショルダーにおける酸化HC−Fc種(23778Da)の部分的な分離しかできなかった(図8参照)。また、抗体の軽鎖のピログルタメート種でも分離の向上は全く達成されなかった。Jupiter C18カラム並びにPursuitジフェニルカラムではピーク3aにおいて同等な分解能で溶出された。HC−Fab断片(アミノ酸(AA)1〜220)もまた2つのカラムで同時に溶出され、インタクトなHC−Fab種は溶出プロファイルの最後のピークで溶出された。従って、この断片を、Pursuitジフェニルカラムを使用した分離で別個のピークとして分離することは不可能であった。Jupiter C18カラムのマスプロファイルと、Pursuitジフェニルカラムのマスプロファイルの比較により更に、Pursuitジフェニルカラムのピーク3bの質量は、Jupiterカラムのピーク4と相関していることが示された。両方が33630Daの質量を示し、これは、IdeS酵素に割り当てられ得る。更に、PursuitDPカラムのピーク5は、Jupiter C18カラムのピーク5と相関している。両方の場合において、チオエーテルを含むHC−Fab−LC複合体の質量(48918Da)、不完全に還元されたHC−Fab断片の質量(25377Da)、及びN−グリコシダーゼFの質量(34783Da)が存在している。] 図8
[0116] これに対し、Pursuitジフェニルカラムのピーク4は、Jupiter C18カラムのどのピークとも関連せず、従って、Jupiter C18カラムの溶出プロファイルとは差異が生じている。このピークは質量48916Da(これはチオエーテル種に割り当てられ得る)及び質量49118Daを示す。この質量は、抗体の重鎖の分子量に相当する。従って、質量49118Daは、試料調製の経過中に還元により残りの抗体分子から分離されたIdeSにより開裂されていないインタクトな抗体重鎖を示す。]
[0117] 2つのカラムの溶出プロファイルの比較の差異は、ピーク1aの場合にも見られ、これは、Jupiter C18カラムの溶出プロファイルでは検出不可能である。20037Daの質量を有する種が、Pursuitジフェニルカラムのピーク1aにおいて分離されている。これは、アスパラギン酸271(D271)とプロリン272(P272)の間のAsp−Pro開裂の結果として形成されるHC断片に割り当てることができる。Asp−Pro開裂のC末端断片の理論的質量は、20033Daの値を有する。この質量は、ストレスのかけられた抗体のマススペクトルにも、ストレスのかけられていない抗体のマススペクトルにも存在するので、この開裂産物は、40℃のインキュベーションの結果として得られる分解産物ではない。この断片は、40℃のインキュベーションにより明らかに形成されるわけではないが、それにも関らず、Pursuitジフェニルカラムによりのみ分離することのできる抗体の分解産物である。Jupiter C18カラムの場合、この断片は、ピーク1のショルダーにおいて酸化種と共に存在し、このことから、Pursuitジフェニルカラムの分離性能がより良好であることが示される。]
[0118] PursuitジフェニルカラムとJupiter C18カラムの比較により、Pursuitジフェニルカラムは、特別な点においてJupiter C18カラムよりも良好な分離特性を有し(ピーク1a及びピーク4参照)、他の点でも同等な結果を有することが示される。従って、抗体種の分離を効率的に向上させることが可能であった。]
权利要求:

請求項1
試料中の抗体及び抗体断片を検出するための方法であって、以下の工程:a)抗体及び/又は抗体断片を含む試料を得る工程、b)a)で得られた試料を、i)IgG特異的システインプロテアーゼ、ii)グリコシダーゼ、及びiii)還元剤と共にインキュベートする工程、c)b)でインキュベートされた試料を、液体クロマトグラフィーと接続された質量分析計により分析することにより、a)で得られた試料中に含まれるインタクトな抗体を検出及び/又は抗体断片を検出する工程、を含むことを特徴とする、該方法。
請求項2
IgG特異的システインプロテアーゼは、IdeSであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
請求項3
IgG特異的システインプロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
請求項4
IgG特異的システインプロテアーゼとのインキュベーションは、pH5.5〜8.5のpH範囲で行なわれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
請求項5
pH範囲は、pH6.5〜8.5であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
請求項6
pH範囲は、7.0〜8.0であることを特徴とする、請求項5記載の方法。
請求項7
IgG特異的システインプロテアーゼと、試料中に含まれる抗体及び/又は抗体断片のモル比は、1:25から1:2500であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
請求項8
モル比は、1:25から1:100であることを特徴とする、請求項7記載の方法。
請求項9
グリコシダーゼは、N−グリコシダーゼF、又はエンドグリコシダーゼF2、又はエンドグリコシダーゼH、又はノイラミニダーゼ、又はO−グリコシダーゼであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
請求項10
グリコシダーゼは、N−グリコシダーゼFであることを特徴とする、請求項9記載の方法。
請求項11
N−グリコシダーゼFは、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム(Flavobacterium meningosepticum)から得られることを特徴とする、請求項10記載の方法。
請求項12
グリコシダーゼは、配列番号2のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
請求項13
工程b)−i)、b)−ii)及びb)−iii)でのインキュベーションは、連続的であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
請求項14
工程b)−iii)は、iii)還元剤及びギ酸であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
請求項15
還元剤は、リン酸トリクロロエチルであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
請求項16
液体クロマトグラフィーは、逆相液体クロマトグラフィーであることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法。
請求項17
逆相クロマトグラフィーは、C8基又はC18基を有するクロマトグラフィー材料を使用することを特徴とする、請求項16記載の方法。
請求項18
液体クロマトグラフィーは、疎水性相互作用クロマトグラフィーであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項記載の方法。
請求項19
疎水性相互作用クロマトグラフィーは、ジフェニル基を有するクロマトグラフィー材料を使用することを特徴とする、請求項18記載の方法。
請求項20
試料中の抗体又は抗体断片を検出するための化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)由来のIgG特異的システインプロテアーゼIdeSの使用であって、該試料を、IgG特異的システインプロテアーゼと共にインキュベートし、そして、フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム由来のN−グリコシダーゼFと共にインキュベートした後、得られた断片を、液体クロマトグラフィーに接続された質量分析計により分析することを特徴とする、該使用。
請求項21
抗体又は抗体断片を検出するためのキットであって、該キットは、i)化膿性連鎖球菌由来のIgG特異的システインプロテアーゼIdeS、及びii)フラボバクテリウム・メニンゴセプチカム由来のグリコシダーゼであるN−グリコシダーゼFを含むことを特徴とする、該キット。
請求項22
試料中の改変型の抗体を検出する方法であって、以下の工程:a)抗体及び/又はその開裂産物を含む試料を得る工程、b)a)で得られた試料を、i)IgG特異的システインプロテアーゼ、ii)グリコシダーゼ、iii)還元剤と共にインキュベートする工程、c)b)でインキュベートされた試料を、疎水性相互作用クロマトグラフィーにより分析し、これにより、試料中の改変型の抗体を検出する工程を含むことを特徴とする、該方法。
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